【初心者向け】産業廃棄物収集運搬業許可とは?必要な理由と対象となる廃棄物を徹底解説

「産業廃棄物収集運搬業許可」という言葉を聞いたとき、「難しそう」「ウチの会社に関係あるの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この許可は、事業活動で発生したゴミ(産業廃棄物)を適正に運び、環境を守るために非常に重要なものです。
この記事では、許可の基本から、なぜあなたの会社にこの許可が必要なのか、そしてどんなものが対象の廃棄物になるのかを、初心者の方にもわかりやすい言葉で行政書士が徹底解説します。


1. 産業廃棄物収集運搬業許可とは?基礎知識

1-1. 許可の定義と目的

「産業廃棄物収集運搬業許可」とは、他社が排出した産業廃棄物を、その排出場所から処分場まで運搬することを国(都道府県や政令市)から正式に認められた証です。
この許可は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づいており、その最大の目的は、環境汚染や不法投棄を防ぎ、国民の生活環境を保全することにあります。
運搬業者に一定の基準と責任を義務付けることで、廃棄物が「誰でも」「どこへでも」不適切に運ばれてしまうことを防いでいます。

1-2. 「収集運搬」と「処分」の違い

産業廃棄物の処理には、大きく分けて以下の2種類があり、それぞれ必要な許可が異なります。

種類内容必要な許可
収集運搬排出場所から中間処理施設や最終処分場まで運ぶ行為収集運搬業許可
処分廃棄物を処理(焼却、埋立、リサイクルなど)する行為処分業許可

もし、あなたの会社が他社から出た産業廃棄物を「トラックで運ぶだけ」なら、必要なのは「収集運搬業許可」です。運搬後の処理まで行う場合は、「処分業許可」も必要になります。


2. なぜあなたの会社に許可が必要なのか?

2-1. 無許可営業は「懲役刑」を含む重い罰則の対象

許可なしに他社の産業廃棄物を有償で運搬した場合、それは「無許可営業」にあたり、廃棄物処理法違反となります。
廃棄物処理法は非常に厳しく、違反者には以下の様な重い罰則が科せられます。

【罰則例】

  • 5年以下の拘禁刑 または
  • 1,000万円以下の罰金
  • (法人の場合)3億円以下の罰金

これは、知らなかったでは済まされない、事業継続に直結する重大なリスクです。コンプライアンスを徹底するためにも、事業を行う上では必ず許可を取得しなければなりません。

2-2. 顧客(排出事業者)からの信頼獲得とビジネスチャンス

産業廃棄物の排出者(お客様)には、その廃棄物が最後まで適正に処理されたかを確認する「排出事業者責任」があります。
そのため、排出事業者は許可を持っている信頼できる業者にしか運搬を依頼しません。

  • 許可取得=コンプライアンスの証明
  • 許可取得=安定した取引の開始

許可を取得することで、優良な企業からの引き合いが増え、ビジネスの拡大に繋がります。

2-3. 運搬が認められるエリアについて

この許可は、原則として都道府県ごと、または政令指定都市ごとに取得が必要です。
例えば、埼玉県で許可を取得しても、東京都に運搬するには、別途神奈川県の許可も必要になります。
事業エリアに応じて、複数の自治体の許可を取得する必要がある点も、許可申請を複雑にする要因の一つです。


3. 対象となる「産業廃棄物」を徹底解説

「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、法令で定められた20種類の品目のことを指します。
この20種類は、運搬中に性状が変化しない「安定型産業廃棄物」と、それ以外の「非安定型産業廃棄物」に大きく分けられます。
運搬業の許可は、この20種類の中から、あなたの会社が実際に取り扱う品目を選んで申請します。

3-1. 法令で定められた20種類(主な品目と事業例)

ここでは、特によく取り扱われる主要な品目をご紹介します。

品目名どのような事業から発生しやすいか
1燃え殻焼却施設、ボイラーなど
2汚泥浄水場、工場廃水処理施設など
3廃油機械のメンテナンス、自動車整備工場など
4廃酸・廃アルカリ化学工場、メッキ工場など
5廃プラスチック類包装資材、容器、建設現場の資材など
6紙くず建設業、製紙業、出版業など(※例外あり
7木くず建設業、木材加工業など(※例外あり
8金属くず建設業、製造業のスクラップなど
9がれき類建設現場のコンクリート、アスファルト片など
10ガラスくず、陶磁器くず建設業、窯業、ガラス工場など

3-2. 一般廃棄物との違い

産業廃棄物と対になるのが「一般廃棄物」です。

産業廃棄物一般廃棄物
発生源すべての事業活動(工場、オフィス、店舗など)家庭の日常生活
品目法令で定められた20種類上記20種類以外のすべて
許可産業廃棄物収集運搬業許可(都道府県・政令市)一般廃棄物収集運搬業許可(市町村)

例えば、オフィスから出るコピー用紙のくずは、特定の事業から出たものでなければ一般廃棄物ですが、建設現場から出た紙くず産業廃棄物になります。
自分が運搬したいものがどちらに該当するのかを正確に判断することが重要です。


4. 許可取得の第一歩を踏み出すために

産業廃棄物収集運搬業許可は、環境保全への貢献企業としての信頼性を証明する重要なライセンスです。
しかし、申請手続きは非常に専門的で複雑です。

  • 申請書類は数十種類に及び、作成に時間と労力がかかる
  • 法令に関する知識(欠格要件、講習会の受講など)が必須
  • 自治体ごとにローカルルールが存在する

行政書士へご相談ください

当事務所では、この複雑な許可申請をあなたの代わりに行い、スムーズかつ確実に許可を取得できるようサポートいたします。
まずは「ウチの会社は許可が必要?」といったご質問から、お気軽にご相談ください。

ご相談は何回でも無料です。お気軽にお問い合わせください。070-8490-7268受付時間 8:00-20:00 [ 土日祝日も対応 ]

お問い合わせ LINEや問い合わせフォームは24時間受付中です。