債務超過でも産廃許可はとれる?許可取得のための基準と対策
産業廃棄物収集運搬業の許可取得を目指す際、申請者を悩ませる大きなハードルの一つが「経理的基礎」、つまり会社の財務状況に関する要件です。
廃棄物処理法では、事業を安定かつ継続的に行えるだけの財産的基盤がないと判断された場合、許可が下りません。これは、環境への責任を負う事業者にふさわしい経営体力が求められるからです。
この記事では、行政書士が財務状況に関する審査基準、特に問題となる「債務超過」や「赤字」への具体的な対策を解説し、あなたの会社がこの要件をクリアする方法を伝授します。
1. 経理的基礎の要件とは?審査で重視される基準
産業廃棄物収集運搬業の許可要件の一つである「経理的基礎」は、「申請事業を的確に、かつ継続的に行うに足りる経理的基礎を有すること」と定義されています。
行政は主に、直近3期分の決算書を提出させ、以下の点を重点的にチェックします。
1-1. チェックポイント:債務超過ではないか
債務超過とは、「会社の負債総額(借金など)が資産総額を上回っている状態」のことです。純資産の部がマイナスになっている状態を指します。
| 状態 | 審査の判断 |
| 債務超過ではない | 原則として経理的基礎ありと判断されやすい。 |
| 債務超過である | 原則として経理的基礎なし(欠格要件)と判断される。 |
債務超過の状態では、会社に経営破綻の恐れがあると判断され、許可を取得するには別途追加資料を提出する必要があります。
1-2. 収益性:当期純利益は出ているか
直近の事業年度の当期純利益が継続的に赤字である場合も問題視されます。
- 継続的な赤字: 利益が出ていない場合、事業の継続性や安定性に疑念を持たれます。
- 求められるのは「将来の安定性」: 過去の赤字があっても、直近の年度で改善が見られたり、具体的な収益改善計画が提出できれば、審査に通る可能性はあります。
1-3. 資金調達能力と資金繰り
- 運転資金の確保: 事業開始や維持に必要な運転資金(申請手数料、車両維持費、人件費など)を十分に確保できているか。
- 資金繰りの健全性: 滞納税や未払金などが頻繁に発生していないか。
2. 債務超過・赤字の場合の具体的な対策
「決算書を見たら債務超過だった」「直近は赤字が続いている」という場合でも、すぐに許可取得を諦める必要はありません。行政に対し、「将来的に経営を改善し、事業を安定させられる」ことを証明できれば、許可を得られる可能性があります。
対策1:増資による債務超過の解消
最も確実かつ強力な対策は、資本金の増強(増資)を行い、純資産の部をプラスにすることです。
- 目的: 負債ではなく資本を増やすことで、形式的に債務超過の状態を解消します。
- 証明: 増資後の資本金を示す登記簿謄本と、増資資金の入金を証明する書類が必要です。
対策2:役員借入金の資本組み入れ
社長や役員が会社に貸し付けている「役員借入金」がある場合、これを「資本金」または「繰越利益剰余金」に振り替えることで、実質的な負債を減らし、純資産を改善できます。
- この手続きには、弁護士や税理士との連携が必要になる場合があり、行政書士が窓口となってサポートします。
対策3:事業改善計画書の作成と提出
債務超過や赤字が解消できない場合、「今後5年程度の事業期間を通じて、財務状況がどのように改善されるか」を具体的な根拠をもって説明する「事業改善計画書」を作成し、提出します。
| 計画書の主な記載内容 | 行政が確認したいこと |
| 具体的な収益計画 | どのような取引先から、どれだけの収益が見込めるのか。 |
| コスト削減計画 | どこを削減し、収益性を高めるのか。 |
| 資金調達方法 | 金融機関からの追加融資の見込み、根拠。 |
| 技術力・ノウハウ | 他社にはない技術やノウハウがあり、事業が成り立つ客観的な根拠。 |
【ポイント】 この計画書は、単なる希望的観測ではなく、客観的な契約見込みや数字に基づいている必要があります。
3. 許可取得に特化した経理的基礎のチェックポイント
3-1. 許可申請用の残高証明書
申請時には、事業をスタートさせるために必要な資金が確保されていることを証明するため、金融機関の残高証明書を提出します。
- 証明の目的: 申請費用や車両購入費、初期運転資金など、すべてを合計した金額以上の残高があることを証明します。
- 有効期限: 残高証明書は発行日が古いと認められないため、提出日から概ね1ヶ月以内のものを準備する必要があります。
3-2. 新規設立法人・事業年度が短い法人
設立間もない法人や事業年度が短い法人は、決算書がないため、創立時の残高証明書や具体的な資金計画をもって経理的基礎を証明します。
この場合も、事業計画書による収益性の証明が特に重要になります。
4. 財務状況の不安は行政書士へご相談ください
経理的基礎の審査は、許可申請の中でも特に専門的な判断が求められる部分です。
行政書士は、決算書や試算表を拝見し、どの部分を行政に説明すれば納得してもらえるか、またどのような対策を講じるべきかを、許可基準に合わせて判断します。
当事務所にご相談いただくことで、不許可のリスクを最小限に抑え、許可取得に特化した事業改善計画書の作成をサポートいたします。
「ウチの会社の財務状況で許可は取れるのか?」という疑問がある場合は、まずは無料診断をご利用ください。
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