「収集運搬」と「処分」の違いを理解する!あなたの事業に必要な許可はどっち?

産業廃棄物に関わる事業を始める際、まず直面するのが「収集運搬」と「処分」という、似て非なる二つのキーワードです。
どちらも廃棄物処理に不可欠な役割ですが、それぞれ必要な許可の種類、取得難易度、およびコストが大きく異なります。
この記事では、行政書士が「収集運搬業」と「処分業」の明確な違いを解説し、あなたの事業内容に本当に必要な許可はどちらなのかを判断するお手伝いをします。


1. 産業廃棄物処理における「収集運搬」と「処分」の定義

廃棄物処理法では、産業廃棄物の流れを「排出」→「収集運搬」→「処分(中間処理・最終処分)」と定義しており、このうち「収集運搬」と「処分」は、それぞれ独立した許可が必要です。

1-1. 産業廃棄物収集運搬業とは

役割運ぶこと
具体的な行為排出事業者から廃棄物を受け取り、中間処理施設や最終処分場までトラック等で移動させる行為。
事業イメージ運送業、トラックによる収集・配送サービス
必要な許可産業廃棄物収集運搬業許可
許可の難易度中程度(車両、経理、知識の要件クリアが必要)

【ポイント】 収集運搬業者は、「運ぶ」ことのみが業務です。運搬中に廃棄物の性状や形を変える行為(例:焼却、圧縮、破砕など)は認められていません。

1-2. 産業廃棄物処分業とは

役割処理すること
具体的な行為廃棄物を安全に、適正に処理する行為。大きく分けて二種類あります。
①中間処理: 減量化(焼却)、無害化(中和)、リサイクル(破砕・選別)
②最終処分: 埋立処分など、最終的に環境に放出する行為
事業イメージ処理工場、リサイクル施設、最終処分場
必要な許可産業廃棄物処分業許可
許可の難易度非常に高い(大規模な施設、高度な技術、多額の資金が必要)

【ポイント】 処分業者は、「処理施設」を持ち、環境への影響を考慮しながら廃棄物を安全に「処理」する責任を負います。


2. あなたの事業に必要な許可はどっち?具体的な事例で判断

自社の事業計画を確認し、以下のフローチャートで必要な許可を判断してみましょう。

質問YESの場合NOの場合
Q1. 他社から出た産業廃棄物を「トラックで積んで運ぶ」行為がメインですか?収集運搬業の許可が必要です(Q2へ)処分業の許可が必要です(Q3へ)
Q2. 運搬の途中で、廃棄物を自社の倉庫で一時的に保管し、まとめてから運びますか?積替え保管」付き収集運搬業許可が必要です通常の収集運搬業許可が必要です
Q3. 廃棄物を焼却して体積を減らしたり、破砕してリサイクル原料に加工したりしますか?中間処理業許可が必要です最終処分業許可が必要です

2-1. 運搬と処理を両方行う場合

もし、自社で廃棄物を収集運搬し、そのまま自社の処理施設で処分するという一貫したサービスを提供する場合は、両方の許可が必要になります。

  • 運搬の部分: 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 処理の部分: 産業廃棄物処分業許可

特に建設業や解体業者が、自社の現場から発生した廃棄物を自社のリサイクル施設へ運ぶ場合、この両方の許可を持つことで、顧客にワンストップサービスを提供でき、大きな強みとなります。

2-2. 許可が不要な例外的なケース(自家運搬)

原則として、他社の廃棄物の運搬には許可が必要ですが、自社(排出事業者)が自社で排出した産業廃棄物を、自社の車両で運ぶ行為については、「自家運搬」として許可は不要です。
ただし、自家運搬であっても、運搬車両の表示や書面携行などの義務は免除されません。


3. 許可取得の難易度と行政書士の役割

3-1. 処分業の難しさとコスト

処分業許可は、収集運搬業許可と比較して、取得のハードルが格段に上がります。

  • 施設基準: 処理に必要な大規模な施設(焼却炉、破砕機など)の確保と、それに伴う膨大な初期投資。
  • 環境アセスメント: 周辺環境への影響を評価する環境アセスメント(環境影響評価)が必要となることが多い。
  • 技術管理責任者: 廃棄物の処理に関する専門知識を持つ「技術管理者」の設置義務。

これらの要件を満たすため、処分業は非常に高い専門性と資金力が必要とされます。

3-2. 収集運搬業は「手続きの複雑さ」が問題

収集運搬業許可も決して簡単ではありません。取得を困難にしているのは、主に以下の要因です。

  1. 都道府県ごとの個別申請: 事業を行うエリアの数だけ申請が必要。
  2. 膨大な添付書類: 住民票、登記簿謄本、事業計画書など数十種類の書類が必要。
  3. 経理的基礎の審査: 会社の財務状況が許可基準を満たしているか、厳しくチェックされる。

行政書士の専門性が必要とされるのは、この複雑で多岐にわたる申請手続きを、ミスなく、そしてスピーディーにクリアすることです。


4. まずは必要な許可を明確に!行政書士にご相談ください

あなたの会社が「運ぶ」のか「処理する」のかによって、取るべき許可は大きく変わります。
必要な許可を間違えると、時間とお金を無駄にするだけでなく、無許可営業というリスクを招くことにもなりかねません。
当事務所では、お客様の事業計画をヒアリングし、「収集運搬業許可」と「処分業許可」のどちらが必要か、またどの自治体の許可が必要かを正確に判断し、最適な取得プランをご提案いたします。
事業の方向性を固めるためにも、まずは専門家にご相談ください。

ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。070-8490-7268受付時間 8:00-20:00 [ 土日祝日も対応 ]

お問い合わせ LINEや問い合わせフォームは24時間受付中です。

この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
産業廃棄物許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
平成生まれの若さを活かしたフットワークの軽さが強み
迅速・丁寧・確実な許認可サポート